リスペクトとライバル心
2008年 7月11日(金)15時18分27秒
昨晩の広島対中日の“死闘”は、仕事が多忙を極めたが故のとある「事情」で、結果的には、試合開始から終了までを、スカパーの映像でしっかりと見届けることができました。
序盤に7点という大量リードをしたにもかかわらず、あのような展開になることを、私“も”ある程度覚悟していました。
それは、先発投手が、プロ入り2回目、今季初登板であり、いまだ未勝利だった佐藤亮太であったこともそうでしたが、何となく、底知れぬ不安を伴った雰囲気が、試合の序盤から漂っていたからかもしれません。
ひょっとしたら、落合監督もそれを覚悟していたのかもしれないと思いました。
だから、試合の序盤に大量6点リードした時点でも、敢えて3番森野にスクイズを命じたのかもしれません。
そして、そのように指揮官が覚悟した試合だからこそ、7点差を追いつかれた後に、最終的には中日が勝てたのだと思います。
http://dragons.jp/game/scoreboard/2008/index.php?date=20080710
スカパー中継は、地元局のテレビ新広島(TSS)の製作によるものでしたが、ゲストには、なぜか中日ファンのDJ、SEAMOが呼ばれていました。
試合の途中でその理由が明らかになりますが、8月23日に、広島サウンドマリーナという会場でミュージックフェスティバルが開催される予定で、そこにはSEAMOをはじめとするミュージシャンやDJが出演するので、その「番宣」を兼ねてのことだったようです。
http://www.sunmari.jp/artist/artist.php#05
もちろん、TSSも主催者に名を連ねていました。
http://www.sunmari.jp/guide/summary.php
試合の方は、最初は中日の楽勝ムードだったのが、途中から広島が反撃を開始すると、TSSのアナウンサーと達川とで、SEAMOに対して、ネチネチと、真綿で締め付けるように彼の不安を煽っていましたが、結果的にもそのとおりの展開になりました。
ところが、後半7回表、中日の唯一のチャンスといってもよかった二死満塁の場面で、代打に立浪が告げられると、「キミは立浪のファンなの?」と達川が訪ねると、「もちろんそうですよ。」と、何をいまさらそんなことを聞くのと言いたげに答えるSEAMO。
そのあと、しばしの沈黙が流れましたが、実は、「自分もそうなんだよ」と、さぞかし言いたかったであろう達川でしたが、テレビ新広島の解説をやっている手前、そうは言えないのがもどかしかったのか、素直に立浪が好きと言えるSEAMOがうらやましくてしょうがない様子がわかり、大変面白かったですね。
元々、達川はことあるごとに立浪のことを誉めこそすれ、くさしたことはいっぺんもなく、ある時のコメントで、「立浪選手は、○○とおっしゃっていましたけどね。」と、“敵国”放送の同局の実況中継でも、知らず知らずのうちに敬語で解説していたこともありました。
それ以外にも、たとえば、自分がカープの監督をしていた時には、当時高卒で入団してきた東出に対しても、「彼は立浪2世になれる素質を持っている。」と、いち早く、自分の願望を口にしていたほどで、彼の守備が安定していないのにもかかわらず、立浪が高卒で入団直後に確保したショートのポジションを与えたほどでしたしたし。
たぶん、今回の番組終了後に、密かにSEAMOに、「実は、ワシも立浪が一番好きな選手なんじゃよ。カープの放送の手前、放送では言えんかったけどね。」と告白したかもしれませんね。
そういう、達川の「立浪リスペクト」についての、過去の「南西対談」の決定的な証拠を探そうとしましたが、結局は発見できず、代わりに、達川の「落合監督リスペクト」の証拠が見つかりました。
http://homepage3.nifty.com/TAMAGAWA/dra/affairs/SE/SE2005/2005SE04.htm
ただし、昨日の解説で、達川は、落合采配の限界をさかんに強調していましたので、私は、達川にとって、「落合リスペクト」より「立浪リスペクト」のほうが遥かに上位に来ているものと思っています。
まあ、そういう風に、最近は落合采配限界説が、球界に流れてきましたが、それとは全く別の次元で、落合監督は采配を揮っているような気がしてきました。
つまり、もう目先のリーグ優勝や、CSを勝ち抜いての日本シリーズ出場をあまり重視しなくなってきたというのが本音でしょうね。
もちろん、現在のチームの指揮官としての立場上は、まだリーグ優勝を諦めてはいませんし、もし、CSへの出場権を獲得したら、昨年のようにベストを尽くすとは思いますが、それとは全く別次元の「課題」を、敢えて選手たちに課しているような気がします。
つまり、一言で表すとしたら、
「自分自身の限界を突破してみろ。」
たぶん、そう言いたいからこそ、ファンから見れば、「この選手はあんなに疲れているのにまだプレーさせるのか。」という文句の1つも言いたくなる采配をしているのでしょうね。
一方、昨日の試合で延長戦に入り、10回表の先頭打者のタイロン・ウッズが勝ち越し本塁打を放った後にもチャンスが広がり、一死三塁の場面で、敢えてスクイズを見破られることを覚悟で敢行し、失敗したシーンについて、中スポの渋谷真キャップが食い下がったところ、落合監督の発言には納得しかねる点があると言っていました。
------------------------------------------------------------
「龍の背に乗って」(抜粋)
…7回には守備が乱れてとうとう同点。野球に“流れ”というものがあるのなら、もう勝てるはずがない展開である。そこから浅尾でしのぎ、長峰が踏ん張って、ウッズのひと振りで勝ち越す。それもまた野球。こんな展開、誰が予想する?
「予想? してたよ。だから(4回の)7点目を森野のスクイズで取りにいった(結果はファウル)んじゃないか」。落合監督は事もなげにこう言った。さらに、こうのたまった。
「2回目のスクイズは、オレ(が敵の監督)なら4球とも外す」
勝ち越した延長11回表、なおも一死三塁から英智にスクイズを命じた。外されて空振り。走者も死んだ。だが、ピッチド・アウトをわかっていてなぜ?
「岩瀬は2点差より1点差の方がいいんだもん」。
は?
疲労困憊のロングゲーム。向こうのいい間違えか、それともこちらの聞き違えか…。
確かめたらもう一度うなずいた。
「こういうゲーム展開での岩瀬の投げっぷりを見たら、2点差になるのは嫌だった」。
要するに、追加点はノーサンキューということになる。理解はできるが、納得は…。
ともあれ、反省は山ほどあるが、最後に勝った。
勝利こそが救いとなり、覆い隠してくれる。(渋谷真)
------------------------------------------------------------
渋谷キャップの、かなり批判めいた「コラム」を読んだとき、私も、最初は、落合監督独特の、ちょっと天邪鬼的なものの言い方かなと思って、その話を受け止めていましたが、ひょっとしたら、こういうことなのかもしれません。
その裏に、抑えとして、久々に登板する岩瀬にとっては、ソロホームランで同点に追いつかれる危険性がある1点差より、このチャンスを生かしてもう1点追加して2点差にしておいたほうが、はるかにリスクが少ないと考えるのが当たり前ですが、落合監督は、岩瀬にそのような状況を作ってあげるほうが、かえって、ナインも含めて緊迫感が失われて油断するのではないか。
だとしたら、敢えて、スクイズを失敗してみせることによって、次の裏の守備について、岩瀬を含めた選手たち全てを死に物狂いで守らせたほうがかえって安全なのではないか。
これも、一種の、選手たちに対する「限界への挑戦」なのかもしれません。
そう思ったのは、彼が初めて監督となった2004年の開幕三連戦で、川上ケンシンが延長戦を投げ抜いて勝ち投手になった試合を思い起こさせたからです。
それまで、ケンシンが延長戦に入って、さらに150球以上投げさせられることはなかったはずです。
あの、厳しさで定評のある、星野仙一が監督をしていた時ですらそうでした。
あの試合のケンシンは、最後は速球の球速表示が130キロ代に落ちても投げさせられていました。
あの試合以降、落合監督はケンシンにそのような投球を要求してはいませんが、そこで彼の「限界」を見極めたかったのかもしれません…。
さて、本日の中日は、ヤクルトとの闘いですが、先発投手は、川上対石川が予想されますね。
石川は、昨日の先発もあり得たのに、たぶん、本人のたっての希望でケンシンに挑んでくるのでしょう。
石川は、自分がどんなに活躍しても、ケンシンがマスコミに注目を浴びることが悔しくて悔しくてしょうがないのでしょう。
それは、たんに人気の六大学出身のエースケンシンと、実力の東都大学リーグ出身の自分に対する扱いの違いに対するものなのか、それともケンシンのみが醸し出す“世界観”に対するものなのか。
なお、石川が人知れず自分に闘争心を燃やしているのを知ってか知らずか、ケンシンは極力淡々と対応すると思いますが。
集団戦の趨勢が、かなり、戦国の世に終わりを告げた、関ヶ原の合戦後の“徳川政権”に似てきた阪神に傾いてきた今日、個別の武将同士の一騎打ちに注目するのも一興かと思います。
| 固定リンク











